2016年9月10日土曜日

新米僧侶向けの研修会へ

先日、2泊3日の新米僧侶向けの研修会に参加するため、本山妙心寺に行って参りました。
これから僧堂(禅僧の専門道場)に入門する禅僧が対象で、参加者は私含め8名。
私が最年長で、ほとんどが大学3~4年生でした。
妙心寺山門。

禅僧が身に付けるべき作法や礼儀を学ぶこと、僧堂を体験することが目的であり、想像以上の内容でした。。。

禅宗では日常生活全てが修行と捉えていて、衣や袈裟の着方や脱ぎ方、掃除の際の格好、食事の取り方、お茶の飲み方、お経の読み方、坐禅の組み方、風呂の入り方等、全てに作法があります。
一通りの作法を2泊3日で指導していただいたのですが、とにかく覚えることが多い。
そして一度教えていただいたことを間違えると、容赦なく怒鳴られる。

一番衝撃的だったのが、食事。
朝食のことを粥座(しゅくざ)、昼食のことを斎座(さいざ)、夕食のことを薬石(やくせき)と言います。
とにかく食べる量が尋常じゃなく多い。ご飯は基本3杯で、2日目の斎座ではうどんが5人前+白飯1杯、更に夜食として22時にうどん1杯と1合のおにぎり1個。
そして、どんなにご飯やお茶が熱くても早く飲食して、少しでも時間を無駄にしてはいけないという考えのようで、まるで毎食が大食い選手権のようでした。
ただ救われたのは食事は精進料理でしたが、全て美味しかったこと。がんもどき、ナスの揚げ浸しは、特に絶品でした。

次に、読むお経の種類が多いこと。研修会では15種類。お恥ずかしながら3種類しか覚えていないので、話になりません。
僧堂に入るまでに出来れば15種類覚えてから入門することを勧められました。覚えていないと、僧堂では自由時間は就寝後しかないため、睡眠時間を削って覚えるしかないとのこと。
何としてでも、あと約半年で12種類覚えねば。。。

そして、寝る時の作法。敷き布団と掛け布団、枕というのは存在せず、柏布団という正方形に近い1枚の布団を2つ折りにして、柏餅のように包まって寝ます。枕がなく、顔を覆う必要があり、息苦しくて、暑くて頻繁に目が覚めてしまいました。。。

6:00から23:00まで、坐禅、読経、食事、掃除、坐禅、読経、食事、、、風呂、、、とエンドレスで続き、休憩といえば、トイレ休憩と水分補給の10~15分程度がこまめに間に入ったくらいで、目まぐるしい3日間でした。
この3日間で、僧堂というのはどんな場所なのか少しだけ理解できたような気がします。
世間との縁を断って厳しいルールの中で共同生活を送ることは辛いことですが、一定期間過ごすことで、気づいたら禅僧としてのスキルが習得出来ている、言わば、修行道場という名の禅僧のトレーニングセンターなのだと。

同じ日本でありながら、知らない世界がたくさんあります。
ほんの僅かですが禅の世界に触れることが出来、日々の何気ないことの有り難みを感じています。好きな量だけご飯を食べる、ゆっくりお風呂に浸かる、家族と一緒に過ごす、ふかふかの布団で寝る、笑う、、、。

僧堂生活を1年以上過ごすことを想像するだけで背筋が凍りますが、一人前の禅僧になるための登竜門なので耐えるしかありません。
厳しい中にでも、自己成長や下山後の周りにいる方の笑顔など、前向きになれる方法を見つけていきます。

学徒(臨済宗妙心寺派の檀家や寺関係者)向けの1泊2日の研修もあるので、ご興味ある方は、菩提寺に相談されてみて下さいね。

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