2018年7月31日火曜日

雲水日記2

入門5日目。5日間の入門試練をクリアできた節目の日。
ようやく雲水として認められ、いよいよ修行が始まります。

3月28日
5日間の試練に耐え、ようやく入門が認められた。
そのご褒美として?5日ぶりの入浴ができた。僧堂では入浴のことを開浴と言う。
他の道場では4と9がつく日しか開浴できないのだけど、老師のご配慮によりここでは毎日開浴できる。今日の風呂はめちゃくちゃ気持ち良かった。今までで一番かもしれない。
風呂に入ることは有り難いこと。老師に感謝。

夜8時頃に知客寮相見といって、雲水の中で最も偉い人と対面する儀式があった。

雲水は知客寮のことを”知客(しか)さん”と呼ぶ。
知客寮相見は暗い部屋に案内され、その部屋の正面に知客さんが座っていて隣には行灯が置かれいて、うっすらとしか知客さんの顔を見ることができなかった。
まるで時代劇のワンシーンのようで、いつの時代だよ!と、内心突っ込んでしまった。
知客さんの顔をジロジロ見ることも、話しかけることも許されず、ただひたすら低頭をする。時代劇の演者の気分だった。
知客さんから「僧堂では今までの経験をまっさらにして、修行に励むように。」と激励の言葉を頂く。
また、”しょうぶん”という名前を与えられることになったと発表され、明日からは”文(ぶん)さん”と呼ばれることになった。

いよいよ明日からだ!


【雲水用語】
・老師(ろうし):専門道場の住職のこと。
・開浴(かいよく):入浴のこと。4と9がつく日しか開浴できない道場が多い。例えば4、9、14、19日など。
・知客寮(しかりょう):雲水の中で最も偉く意思決定権を持つ。外部からの来客の接待を行う。
・相見(しょうけん):対面すること。
・低頭(ていとう):頭を低く下げる。土下座のポーズをする。
※使用シーンによって意味が変わる用語もありますが、わかりやすさを第一に表現しています。

2018年7月24日火曜日

雲水日記1

禅宗では修行僧のことを雲水(うんすい)といいます。

実は、修行中密かに日記をつけていました。
なぜ密かなのか、それは没収される可能性があるからです。
修行道場の様子は門外不出であり、グーグル先生に聞いても教えてくれません。
映画「ファンシィダンス」のように少しでも禅に対して興味を持ったり、理解したりして頂ければと思い、日記の一部を公開したいと思います。

まずは入門編。
禅道場に入門することを掛搭(かとう)といいます。
掛搭できる期間が春か秋と決まっていて、いつでもできるわけではありません。
しかも、すぐに受け入れてもらえるわけではなく、最初に5日間の入門試験が課せられます。
最初の2日間は庭詰め(にわづめ)といって、朝から夕方くらいまで低頭(ていとう:頭を低くする、いわゆる土下座のポーズ)をし続けます。その後3日間は旦過詰め(たんがづめ)といって、6畳1間を与えられ一日中座禅をし続けます。
それが終われば、正式に修行僧として受け入れてもらえるという流れです。

3月24日
いよいよ掛搭の日がやってきた。
家族に見送られ、7時頃に入山した。
玄関にて
僕「頼みましょー!!!」と低頭のポーズで腹の底から大声を出し、入門の意思を伝える。
すると、先輩雲水が登場し
先輩「どーれー!いずこより?」とどこから来たのかと尋ねられる。
僕「(いずこって?いつの時代だよ。。。と内心思うが)●●寺徒弟(とてい:弟子)◯◯と申します。当道場に掛搭致したく、お取次をお願い致します。」
先輩「当道場はただいま満員に付き、他の道場に足元の明るいうちに御巡り下さい。」と入門を断られる。
僕「(このやりとり、事前に聞いていた通りだ。”良し”、と言われるまで頭を下げ続けねば。)」
といった具合に、7時から夕方までは食事と東司(とうす:トイレのこと)以外はずっと低頭の姿勢。
途中、これは夢なのかと何度も思った。
そして旦過詰めが終わる5日間は風呂、歯磨き、ひげ剃りが許されない。早速試練だ。今日は長い一日だった。。。